山城 宏統
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筋トレを始めると、「毎回全身を鍛えた方がよいのか」「胸の日、背中の日のように部位を分けた方がよいのか」と迷うことがあります。
結論からいえば、全身法と部位分けのどちらにも効果が期待できます。
ただし、週2回から始める初心者には、一度のトレーニングで下半身、胸、背中を鍛える全身法が取り組みやすい方法です。
基本動作を定期的に練習でき、トレーニング日と休息日のバランスも取りやすいからです。
ここでいう全身法は、「一日のトレーニングを全部で2〜3種目にする」という意味ではありません。
下半身なら下半身で2〜3種目、胸なら胸で2〜3種目というように、狙う部位ごとに種目を組みます。最初は各部位2種目から始めると、全体の負担を管理しやすくなります。
この記事では、全身法と部位分けの違い、BIG3と多関節運動の考え方、フリーウエイトから始める理由、初心者向けの週2回メニューを解説します。
目次
全身法と部位分けの違い
全身法
一度のトレーニングで、下半身、胸、背中などの主要な部位を鍛える方法です。
たとえば、月曜日と木曜日に全身トレーニングを行います。
各部位を週2回練習しやすく、トレーニング日数を増やさなくても基本動作を繰り返せることが特徴です。
部位分け
胸、背中、下半身など、鍛える部位を日ごとに分ける方法です。
たとえば、月曜日は胸、火曜日は背中、木曜日は下半身というように組みます。
一つの部位に時間をかけやすい反面、週のトレーニング日数が少ないと、各部位を鍛える間隔が長くなる場合があります。
全身法と部位分けで効果に大きな差はある?
2024年に発表された系統的レビュー・メタ分析では、1週間のトレーニング量が同じであれば、全身法と部位分けで筋力や筋肥大の効果に明確な差は確認されませんでした。
つまり、全身法だけが正解でも、部位分けの方が必ず優れているわけでもありません。
違いが出るのは、メニューの名前よりも次の部分です。
- 1週間に必要なトレーニング量を確保できるか
- 適切な重量を扱えているか
- 狙った部位へ負荷をかけられているか
- フォームを維持できているか
- 次回までに回復できているか
- 無理なく継続できるか
初心者に全身法を勧めるのは、科学的に部位分けより優れているからではありません。週2回という現実的な日数で、基本動作の練習と休息を両立しやすいからです。
初心者に週2回の全身法を勧める理由
基本動作を週2回練習できる
筋トレ初心者は、筋肉を鍛えると同時に、スクワットやプレス、ローイングなどの動作を学んでいます。
姿勢、重心、呼吸、可動域、力を入れる方向は、繰り返し練習することで安定します。
週2回の全身法なら、間隔を空け過ぎずに基本動作を練習できます。
一度に負荷を集中させ過ぎない
週1回だけ一つの部位を鍛える場合、その日に多くの種目やセットを詰め込みやすくなります。
後半になるほど疲労でフォームが崩れ、重量や回数が低下することもあります。
週2回に分ければ、一度の負担を抑えながら1週間のトレーニング量を確保できます。
休息日を作りやすい
月曜日と木曜日にトレーニングを行えば、間に2〜3日の休息を確保できます。
筋肉痛だけでなく、筋力、可動域、全身の疲労も確認しながら次のトレーニングを判断できます。
筋トレの頻度については、「筋トレ初心者は週何回が理想?週2回を勧める理由と休息の目安」も参考にしてください。
全身法でも2〜3種目は部位ごとに考える
「初心者は2〜3種目から始める」という説明を、一日のトレーニングを全部で2〜3種目にするという意味に捉えると、狙いたい部位へ十分な刺激を与えにくくなります。
Workout Base BIGTHでは、種目数を狙う部位ごとに考えます。
- 下半身:2〜3種目
- 胸:2〜3種目
- 背中:2〜3種目
週2回の全身法を始める場合は、まず各部位2種目、合計6種目ほどから始める方法があります。
各部位の1種目目には、基本的にフリーウエイトまたは自重の多関節運動を選びます。
2種目目以降は、マシンや単関節運動を使って不足する刺激を補います。
種目数の詳しい考え方は、「筋トレ初心者は1部位2〜3種目|フリーウエイトから始める理由」で解説しています。
1種目目に多関節運動を行う
多関節運動とは、複数の関節と筋肉を同時に使う運動です。
代表的な種目には、次のものがあります。
- スクワット
- ベンチプレス
- ダンベルプレス
- デッドリフト
- ローイング
一方、レッグエクステンション、レッグカール、ペックフライなどは、特定の筋肉を狙いやすい単関節運動またはマシン種目です。
多関節運動は姿勢を保ちながら複数の関節を連動させるため、集中力と体力が残っている前半に行います。
運動の順番を調べたメタ分析でも、トレーニングの最初に行った種目ほど、その種目の筋力が向上しやすいことが報告されています。
そのため、最も習得したい基本動作や、伸ばしたい種目を先に行うことが大切です。
フリーウエイトから始めてマシンで補う
研究では、フリーウエイトとマシンのどちらでも筋力や筋肥大の効果が期待でき、筋肥大について明確な優劣は確認されていません。
マシンが劣っているわけではなく、狙った筋肉へ負荷をかけやすく、動作も安定させやすいという利点があります。
それでもWorkout Base BIGTHでは、体力や関節の状態に問題がなければ、各部位の1種目目をフリーウエイトまたは自重の多関節運動にします。
フリーウエイトでは、重りを動かすだけでなく、自分で姿勢と軌道を安定させなければなりません。
基本動作を身につけ、身体を連動させて力を出す練習を最初に行い、その後にマシンで狙った筋肉へ負荷を追加します。
たとえば下半身なら、自重またはフリーウエイトのスクワットを行った後に、レッグプレス、レッグカール、レッグエクステンションなどを組みます。
胸なら、ベンチプレスまたはダンベルプレスを行った後に、チェストプレスやペックフライを組みます。
BIG3は基本動作を学ぶために有効
BIG3とは、次の3種目です。
- スクワット
- ベンチプレス
- デッドリフト
いずれも複数の関節と筋肉を使う多関節運動で、限られた時間でも広い範囲を鍛えられます。
スクワット
股関節、膝、足首を連動させ、主に下半身を鍛えます。
最初からバーベルを担ぐ必要はありません。自重スクワットやゴブレットスクワットから始めても構いません。
ベンチプレス
胸、肩、上腕を使って重りを押す動作です。
肩や手首の状態、フォームの安定性に応じて、ダンベルプレスやマシンへ変更できます。
デッドリフト
股関節を中心に動かし、下半身後面、臀部、背中などを使います。
床からのデッドリフトが難しければ、ルーマニアンデッドリフトやダンベルを使った種目から始めます。
ただし、BIG3だけが唯一の正解ではありません。
BIG3には上半身の引く動作が不足するため、ローイングやラットプルダウンも必要です。身体の状態や目的によっては、BIG3の一部を別の種目へ変更します。
大切なのは、BIG3という名前にこだわることではなく、しゃがむ、押す、引く、股関節を使うという基本動作を身につけることです。
初心者向け週2回全身メニュー
最初は月曜日と木曜日など、2〜3日空けて行います。
各部位のフリーウエイト種目を先に行い、その後にマシン種目を行います。
1日目
- 下半身:スクワット
- 胸:ベンチプレス
- 背中:ダンベルローイングまたはバーベルローイング
- 下半身:レッグプレスまたはレッグカール
- 胸:チェストプレスまたはペックフライ
- 背中:ラットプルダウンまたはシーテッドロー
2日目
- 下半身:デッドリフトまたはルーマニアンデッドリフト
- 胸:ダンベルプレス
- 背中:ワンハンドダンベルローイング
- 下半身:レッグエクステンションまたはレッグカール
- 胸:チェストプレスまたはペックフライ
- 背中:ラットプルダウンまたはシーテッドロー
これは固定メニューではありません。
体力、関節の状態、過去の怪我、目的、設備によって種目を変更します。最初からすべての種目で高重量を扱う必要もありません。
初心者のセット数と重量設定
最初は、各種目2セットから始めます。
フォームが安定し、次回までに回復できるようになったら、必要な種目を3セットへ増やします。
回数は、まず8〜12回を目安にします。
8〜12回が唯一筋肉を成長させる回数という意味ではありません。この範囲は、初心者がフォーム、重量、疲労を管理しやすく、負荷が適切か判断しやすい回数です。
重量は、8〜12回行ったところで「正しいフォームでもう1回行ってください」と言われても、できない程度を目安にします。
12回終わった時点で、まだ何回も続けられるなら軽過ぎる可能性があります。
一方、8回に届かない、可動域が狭くなる、反動を使う、補助がなければ危険という場合は重過ぎます。
限界まで行うことと、フォームを崩して無理に反復することは同じではありません。正しいフォームを維持できなくなった時点で終了します。
2026年の米国スポーツ医学会の指針では、筋力や筋肥大のために毎セット限界まで行うことは必須ではなく、個人に合わせて負荷や方法を調整することが重視されています。
重量を増やす具体的な基準
同じ種目で次の条件を満たしたら、重量を少し増やします。
- すべてのセットで12回できた
- 最後まで可動域を保てた
- 反動を使わずフォームを維持できた
- 12回後も、もう1回以上できそうだった
- 次回のトレーニングまでに回復できた
重量を増やした結果、8回できない、フォームが大きく崩れるという場合は、元の重量に戻します。
フリーウエイトでは、重量だけでなく、姿勢、可動域、動作の安定も成長です。
毎回重量を増やすことを目的にせず、前回よりも安定した動作ができているか確認します。
部位分けへ変更するタイミング
初心者がずっと全身法を続けなければならないわけではありません。
次の状態になったら、部位分けを検討できます。
- 週3〜4回以上トレーニングできる
- 一回の全身トレーニングが長くなり過ぎている
- 後半の種目で重量やフォームが大きく低下する
- 特に強化したい部位が明確になった
- 基本種目のフォームが安定した
- 次回までに回復できている
- 1週間のトレーニング量を自分で管理できる
部位分けに変更する場合も、単純に種目とセット数を増やす必要はありません。
現在行っている1週間のトレーニング量を、上半身と下半身、または胸・背中・下半身などに分けるところから始めます。
部位分けは上級者だけの方法ではありませんが、日数を増やすだけでトレーニング効果が高くなるわけではありません。
初心者が避けたいメニューの組み方
毎回種目を変える
種目を頻繁に変えると、フォームが安定したのか、重量や回数が伸びたのか判断しにくくなります。
最初は基本種目を一定期間続けます。
マシンだけで種目数を増やす
マシンは有効ですが、似た動作を何種目も追加すればよいわけではありません。
まずフリーウエイトや自重で基本動作を行い、足りない刺激をマシンで補います。
疲れることを目的にする
汗の量、筋肉痛、トレーニング後の疲労感だけでは、効果を判断できません。
正しいフォームで適切な負荷をかけ、重量、回数、動作を少しずつ向上させることが重要です。
筋肉痛が残っている日の判断については、「筋肉痛がある日は筋トレを休むべき?回復方法と再開の判断基準」も参考にしてください。
初心者は週2回の全身法から始める
全身法と部位分けは、1週間のトレーニング量が同じであれば、筋力や筋肥大の効果に大きな差が出るとは限りません。
それでも初心者には、週2回の全身法が取り組みやすい出発点です。
各部位の1種目目は、フリーウエイトまたは自重の多関節運動から始めます。その後にマシンや単関節運動を組み合わせ、下半身、胸、背中をそれぞれ2〜3種目で構成します。
種目を増やす前に、基本動作のフォームと重量設定を安定させることが大切です。
Workout Base BIGTHでは、BIG3をそのまま当てはめるのではなく、身体の状態、経験、目的を確認し、一人ひとりに合う全身メニューや部位分けを提案します。























